日本にある程度滞在していれば、「日本語が上手ですね」は馴染みのあるフレーズだと言っても反論する人はいないだろう。
個人的に、皆がバリエーションなく「日本語が上手ですね。」を言うことは、挨拶する時に「おはようございます」、「こんにちは」などの言葉を言うように教えられたかのように感じました。
それを聞くたびに、悲しく思う時もあれば、腹立つ時もありました。
なぜそれを言うのか何度も考えました。最初に頭に浮かべたのが「馬鹿にしているの?」でしたが、よく考えたらそうでもないような気がして考えることを続けていました。
ある日にやっと自分でも納得できるような答えを見つけました。自分が納得するような答えだと言ったのは、日本の人は建前ばかりの人たちだと思いたくないからです。それに、今まで出会って仲良くしてくれた人もいるし、それが真実ではないと思いました。
それでは、なぜ「日本語が上手ですね。」を言うのですか?以下のような状況を想像してください。
外国の方が自分の国の言葉で自分と会話をしていたら、驚きませんか?確かに、世界共通語の英語なら、驚きやしないでしょう。しかし、それが日本語のように、世界でほぼ1つの国でしか使われていないような言葉だったら、なぜこの人が自分の国の言葉を知っていますかと驚きますよね?
多分日本人もそう思っているのではないかと思います。外国の方なので、日本語が話せないのは当たり前でしょうがないことですが、日本語が通じて話せることはすごいと思う訳です。ですから、「日本語が上手ですね」と褒めるのだと思います。
実際に日本人の友達にこれについて聞いたら、これ以外にも理由があると教えてくれました。
それは、自分の国の言葉を頑張って勉強してくれていることに嬉しく思って、「頑張ってね」というメッセージも含めてその嬉しさを褒め言葉を通じて伝えようと思うからです。
この理由を聞いた瞬間に、前に馬鹿にされているじゃないかと思っていた自分が醜いと思って、少し落ち込んでました。しかし、それと同時に心がその優しさに満たされて、もっと頑張りましょうかと思うようになりました。
まだ他の理由があるかも知れないと思って、僕はもう少し考えを深めることにしました。そこで、自分なりの答えを見つけました。
日本語を習い始めたばかりの頃の自分は、日本語で話してみようと思う勇気がなかなか出せませんでした。それでも、日本語で話そうとする姿勢が称賛に足るものなのではないかと思いました。別に褒めてほしいからこの話しをしたわけではないです。ただ、日本人が容易に他の人の良いところを見つけ出す能力を見習いたくて、真似してみました。
最後に、日本人に「日本語が上手ですね」を言うのをやめてほしいわけではないし、もちろん、留学生がそれを聞くたびに落ち込まないで腹立たないでほしいとかが言いたいわけでもありません。ただ、それぞれがどう考えているのかを理解した上で会話をすれば、より自然で心地よい交流ができるじゃないかと思ったからです。